17.11.17
着物の柄に込められた想いを知ろう「吉祥文様」①鶴と鳳凰
きものに描かれたモチーフには一つひとつ意味があり、その由来を知ることで、花嫁和装選びがより一層、楽しく意義深いものになるはず。
着用する花嫁の幸せを願って描かれてきた、日本伝統のおめでたい柄は、多種多様。
そんな「吉祥文様」の中で、今回は鳥の文様をピックアップ。婚礼では最も代表的で人気の高い柄でもある「鶴」と、じつは数多く描かれている高貴な伝説の鳥、「鳳凰」について紹介していきます。
鶴 つる


「鶴は千年、亀は万年」ということわざがあるように、長寿の象徴とされている鶴。おめでたいことの起こる前兆で現れる「瑞鳥」(ずいちょう)であるとも言われ、それゆえ婚礼衣裳の柄にふさわしいものです。
純白の羽を持つ鶴は、美しく気品のある文様として古くから日本人に好まれ、立ち姿、飛び交う姿などさまざまな姿で描かれてきました。その多くは、「一生添い遂げる」また「子孫繁栄」という願いを込めて、二羽か、それ以上で描かれています。
幸せな未来へと向かって羽ばたく鶴の群れを豪華に配した、格調高い白無垢
長寿の象徴である鶴のつがい。末永く健康で夫婦仲良くとの祈りが込められている
寄り添って飛翔する鶴は夫婦仲睦まじさの象徴で、群れは子孫繁栄も意味する
格式高い有識文様である「鶴菱」の文様と吉祥の花柄を豪華絢爛に織り上げた逸品
鳳凰 ほうおう


中国古代の伝説上の動物。鳳凰が現れると世の中が繁栄すると言われ、鶴と同様に、慶事を象徴する瑞鳥として愛されてきました。鶏と孔雀を組み合わせたような姿で、五色の羽と長い尾を持ちます。
日本には飛鳥時代に中国から伝来し、工芸品や皇室の衣服や調度品などにも用いられ、格式高く高貴な文様として尊ばれています。
花鳥風月を何千枚もの本金箔と本貝螺鈿を用いて表現した、この上ない贅沢な逸品
大胆に描かれた鳳凰、牡丹、桐の図柄が華やかさと品格を漂わせる一着
龍村美術織物ならではの極彩色で、鳳凰をはじめとした正倉院文様の歴史を織り上げた作品
伝統的な文様「道長取り」に配された、幸せな世界が実現する時に現れる瑞鳥の鳳凰