18.01.07
着物の柄に込められた想いを知ろう「吉祥文様」④日本の文化~熨斗目・御所車・扇
花嫁の幸せへの願いを込めてきものに描かれる縁起の良い “吉祥文様”には、
織物の歴史と同様に古代中国から伝わった柄が多くありますが、
今回は日本オリジナルの柄、日本の文化が生み出した吉祥文様についていくつかご紹介します。
熨斗目 のしめ
熨斗目とは、アワビを薄く伸ばして作る“熨斗”を束ねたもののこと。
古来よりアワビは長寿を象徴する縁起の良い食べ物として日本人に愛されてきました。
熨斗は、いまでも結納品を代表する縁起物。つまり熨斗目文様は、非常にぜいたくで豪華な婚礼を象徴する柄なのです。
【白無垢】
古代ちりめんの地に描かれた絢爛豪華な熨斗目文様を清楚に上品に作り上げた白無垢
正絹糸と金糸で熨斗や瑞花を載せた花車といった吉祥文様を表現し、
熨斗の結び目には金駒刺繍が施された豪華な一着
【色打掛】
全面に描かれたおめでたい大熨斗目(のしめ)の柄に格式高い鶴を添え、
雅二重文地に金彩で白熨斗目の友禅染めが優しく調和している
衣裳全体に大胆に配した熨斗目文様は華やかな金彩工芸で、
その周りに祝いの花々を本手描友禅で描いた作品
鮮やかな朱赤と金糸の織り成す文様からは格調と迫力が感じられる一方で、
丸みのある菊文様や曲線で描かれる束ね熨斗の文様が、花嫁を柔らかく上品な印象に映し出す
箔を織り込んだ錦織地に、古典柄の熨斗文様と躍動感溢れる四季の花々を生け込んだ花籠を配した、
大胆な構図の豪華な色打掛
御所車 ごしょぐるま
平安時代、京都御所の周辺で貴族が乗っていた御所車は、
婚礼衣裳には欠かせない図柄の一つであり優雅で気品ある印象が特徴御所解」(ごしょどき)
ともいいます。なかでも、たくさんの花を飾った「花車」は、
花嫁の幸せを象徴するモチーフとされています。
【白無垢】
ちりめんの生地に、おめでたい花車の図柄を手刺繍で上前に配した白無垢
熟練の職人が一針一針、優雅な花車文様や桜、
流水を花嫁の幸せを願って縫い上げた手刺繍が大変ぜいたくな逸品
【色打掛】
一筆一筆に祈りを込めた本手描友禅に本貝螺鈿(らでん)と金彩工芸の気品と格式が薫る逸品
打掛には珍しい寒色系の色合いで、雲取り文様に松、花車と四季花、比翼の鳥が描かれ、
豪華でありながらも落ち着きを感じさせる
祝いの色である赤と黒のコントラストに、伝統的な技法「相良刺繍」で
描き出された御所車と四季折々の花々の美しさが見事
黒の地に鶴と御所解のおめでたい文様を本金箔と貝螺鈿(かいらでん)を
贅沢に使って表現した本手描友禅の打掛
古典的な風景文様と華やかにあしらわれた四季の花々、優美に舞う鶴の文様。
金駒刺繍など様々な技法が用いられた、豪華で色鮮やかな打掛
末広/扇 すえひろ/おうぎ
末広(すえひろ)/扇(おうぎ)
平安時代から現在まで、宮中の十二単の装束などで必ず手にされている扇。現在の結婚式でも、
和装をまとった新郎新婦の小物として欠かせないものです。
その形から「末広」とも呼ばれ、末広がりの幸せを連想させる吉祥柄として親しまれています。
【白無垢】
多種の刺繍技法を巧みに使い分け、現代風にデザインされた檜扇(ひおうぎ)が優雅に舞う扇文様。
数々の宝物と花々があしらわれている
【色打掛】