17.12.04
着物の柄に込められた想いを知ろう「吉祥文様」②桜・菊・梅
花嫁の幸せを願って、きものに描かれる「吉祥文様」。日本伝統のおめでたい柄はさまざまありますが、今回は「花」文様。
中でも婚礼で人気の和の花、桜・菊・梅についてピックアップ。
その花に託された願いを知ったうえで、自分が結婚式をする季節に合わせた花文様を選んでみてはどうでしょう。
桜 さくら
古くから日本人にとって、花といえば桜を指すほど愛されている花。
見る人の目を楽しませる美しさと、人生の春爛漫を迎えた花嫁のイメージにふさわしいことから、婚礼衣裳でも人気が高いモチーフです。
山桜や八重桜、枝垂れ桜など種類も多く、さまざまに意匠化され多彩に用いられています。
【白無垢】
熟練の職人が一針一針、優雅な花車文様や桜、流水を花嫁の幸せを願って縫い上げた手刺繍が大変贅沢な逸品
清楚な白無垢の中にも豪華さと可愛らしさを表現。老松に鶴と桜、シンプルで伝統的な文様が重厚さを感じさせる
【色打掛】
日本の国花であり日本人に親しまれてきた桜の花が、今を盛りと咲き誇る様が描かれている
菊きく
奈良時代に日本に渡来した花。重陽(ちょうよう)の節句に菊酒を飲んで長寿を祝う中国の風習が伝わり、平安時代の宮中行事でも行われ、日本の文化として根付きました。皇室の御紋でもある菊は、美しく香りも優れていることから広く愛され、秋の花の代表格でもあります。
【白無垢】
格が高く由緒ある有職文様(ゆうそくもんよう)の菊立涌(きくたてわく)が織り出された緞子(どんす)の白無垢
【色打掛】
日本の象徴でもある九弁の菊の花。皇室の御紋として日本人の憧れを集めてきた格式高い花文様
焼き金箔地に描かれる凛とした松と、気高く咲いて天に向かって立つ菊は、慶びの文様
日本を代表する花である菊花と、おめでたい丸花文様、そして幸せの象徴である鶴を描いた作品
梅 うめ
どの花よりも早く厳寒の中で咲く梅は、生命力の強い木として愛好されてきました。菅原道真が詠んだ歌にちなんで全国にたくさんある天神様、天満宮のご神紋として使われるようになり、日本人になじみ深いものとなりました。松、竹とともに「松竹梅」文様として描かれることも多いようです。
【白無垢】
輪奈織のループ状の生地に蘭、竹、菊、梅の四君子の刺繍が施された白無垢
吉祥を表す柄である松竹梅には、晴れの日を迎える花嫁への祝福の想いが込められている
目を惹く赤い深堀刺繍の牡丹と梅を大胆にあしらった、華やかな印象の逸品